国土交通省ガイドライン
国土交通省ガイドラインでは
クリーニング特約については
1 賃借人が負担すべき内容・範囲が示されているか
2 本来 賃借人負担とならない通常損耗分についても負担させるという趣旨及び負担することになる通常損耗の具体的範囲が明記されているか或いは口頭で説明されているか
3 費用として妥当か
等の点から有効・無効が判断されるとありました。
費用の妥当性
前記、国土交通省のガイドラインの、3の費用の妥当性についてですが、いくらが妥当なのか。
それについては、以下の判例があります。
「本件貸室の汚損の有無及び程度を問わず、専門業者による清掃を実施し、その費用として2万5000円(消費税別)を負担する旨の特約の事例について、借主にとっては退去時に通常の清掃を免れる面もあることやその金額も月額賃料の半額以下であること、専門業者による清掃費用として相応な範囲のものであることを理由に消費者契約法10条にも違反しないと判断した(東京地方裁判所判決平成21年9月18日)」。
また、居住中及び退出する際に、基本的な清掃を行わず、そのために貸主が建物内に残った汚れを除去するための基本清掃を行ったことが認められるとして、基本清掃費用(タバコのヤニ等による玄関ドアの汚れ、下駄箱の汚れ、台所壁の 油汚れ、台所の汚れ、洗濯機を置く受け皿の汚 れ、ユニットバスの天井・壁・床の汚れ、トイ レの汚れ、トイレのドアの汚れ、網戸の汚れ等 を落とすための費用26,250円を借主負担とし た(東京地方裁判所平成19年11月29日)。
以上2つの判例から読み取れることは、通常、借主が貸室をきちんと清掃していたかどうかとか、退去時に通常清掃するであろう基本清掃費用や、賃料などと比較して相当性を判断していると思われます。
通常使用していたら汚れる程度を超えて、酷い状況にしていたなら、高く費用を請求されても当然のような気がします。
契約時に納得がいくこと
私は、事前に、友人には、国土交通省のガイドラインの要件3つと前記判例を踏まえた上で、契約書に記載されているクリーニング費用が、納得がいく額なら契約締結してもいいのではないかとアドバイスしていました。
実際、友人が締結したアパートの賃貸借契約書には、退去時にかかるクリーニング代として、貸室の清掃費30,000円とエアコン1基につき8,000円のクリーニング代の記載が書かれていたようです。
友人は、エアコン代は相当で、貸室については、家賃46,000円の半額より7,000円高いが、不相当な額とまではいかないと思ったので、納得したうえで、契約をしたということでした。
契約はお互いの合意に基づくことが大切です。
だから、契約内容が不相当なものでなければ、合意があれば有効に成立します。
その合意に誤りがあったり、納得がいかなかったりするのは真意に基づく合意があったものとは言えません。
納得がいかない、わからないまま契約をすると、こうじゃなかったと後悔することにもなります。
不動産業者さんと契約する前に、必要な判例や法律知識を持って望みたいものです。
そして、気持ちよく住むためにも、遠慮することなく、不動産業者さんに疑問に思ったことをぶつけて、確認し、納得した上で契約締結したいですね。
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